杉並区議会第2回定例会で一般質問に立ちました。

本日(6月5日)、杉並区議会第二回定例会で一般質問に立ちました。質問の要旨を掲載します。
6月9日は芝公園で反戦集会です。みなさん、集まりましょう!

【1】地方自治法改悪について

国が地方自治体に「指示権」を行使し〝自治体丸ごとの戦争動員〟を狙う地方自治法改悪案が5月30日、衆院本会議で可決され、今通常国会会期内での参院採決が狙われています。改憲=緊急事態条項導入を先取りする戦時独裁法の強行を絶対に許すことはできません。

地方自治法改悪の核心は、戦争遂行のために中央政府に強力な権限を与え、地方自治体を戦争に動員することにあります。改悪案にある「国民の安全に重大な影響を与える事態」とは何よりも戦争のことです。具体的には、日米政府が構えている、「台湾有事」を口実とした中国への侵略戦争のことです。そのための国家総動員体制をつくろうとしている、という核心問題を曖昧にした論議が横行しています。

岸田政権は、「想定外の災害や感染症などへの対処のため」としていますが、松本総務大臣はその具体的事例について問われると「想定していないことを例示するのは困難」と強弁し絶対に示そうとしません。唯一の具体例は沖縄・辺野古です。1月11日付の日経新聞は御用学者を登場させ、辺野古米軍新基地建設が労働者民衆の反対闘争で遅れていることに触れ、「防衛省の設計変更の申請から工事開始まで4年近い時間がかかった。知事が適切な処理をしない場合、迅速に国が手続きできるように地方自治法の改正も検討すべきだ」と政府を代弁しました。戦争のために国が直接手続きすることを狙って法を変えようとしているのです。そしてひとたび法案を通してしまえば、「お国のため」「国を守るため」ということが最大限に宣伝され、「非常時」「国民の安全に重大な影響を及ぼす事態」には、個別法に規定がなくても閣議決定のみで国が自治体に指示を出せるようになり、自治体は指示に従う法的義務を負い、国への資料提出や職員派遣も求められます。日本全土の軍事利用と自治体労働者の戦争動員、住民情報-徴兵・徴用名簿の提出強制への道へと一直線です。

問題は、「政府によって恣意的運用がなされるか否か」や「感染症対策をどうするか」にあるのではなく、戦争のために地方自治制度のみならず戦後憲法体制そのものを転覆しようとしていることにあります。だから私は絶対反対です。

ちなみに、政府・自民党が言う「感染症対策」や「震災対策」に関して言えば、犠牲者や被害の拡大は、国家が自治体に強権的に介入できなかったことに原因があるのではなく、この30年来の新自由主義政策の中で医療・介護・福祉制度が破壊され、もしくは意図的な地方切り捨て政策の中で生きるために必要なインフラが破壊されてきたことこそが原因です。こうした自民党政府の政策破綻の責任を棚に上げ、あたかも国家が地方自治体に「指示権」を出す強権を手にすれば問題は解決するかのように描くこと自身が詐欺的手法であり、現在進行している「緊急事態条項」書き入れによる憲法改悪の策動の一環でもあります。

まともな国会審議もなく、連合・自治労本部も賛成にまわり、戦争へと雪崩をうって転落していく今の情勢に対し、急速に危機感が広がっています。沖縄・南西諸島はすでに「戦時下」です。5月27日夜には、沖縄県を対象に全国瞬時警報システム(Jアラート)を発令させ、「北朝鮮がミサイルを発射」などとデマ宣伝をけたたましく繰り広げ、実際に発射されたのは弾道ミサイルではなく人工衛星でしたが、発射物の失敗・爆発後も十数分にわたり「退避」を呼びかけ続けました。住民に「戦時意識」を植え付け、地方自治体を国の命令のもとに動員するためです。

4月の日米首脳会談・共同声明では、日米安保同盟の中国侵略戦争―世界戦争同盟への大転換が確認されました。この夏にも開かれる「外務・防衛担当閣僚による日米安保協議委員会(2プラス2)」でその中身が具体化されようとしています。岸田首相は日米会談で「(アメリカとの)グローバル・パートナー」を宣言し、没落するアメリカ帝国主義の世界支配を維持するために中国侵略戦争―世界戦争を主体的に担うことを宣言しました。日米安保の大転換に向け、岸田政権はその具体化を急ピッチで推し進めています。
①4月10日の日米首脳会談・日米共同声明について区長の見解を伺います。
②日米安保同盟について区長の見解をお答えください。

海上保安庁は中国との戦争を想定して、米沿岸警備隊、韓国海洋警察庁との初めての海上合同訓練を今月に行おうとしています。さらにこの6月は、日本全土を舞台に米軍と自衛隊が一体となった大規模な軍事演習が強行されようとしています。陸海空自衛隊は6月7~18日、米軍が2年に1度行うインド太平洋地域最大規模の実動演習「バリアント・シールド」に初めて参加します。約4千人と車両約130両、航空機約60機などが参加し、在日米軍基地に加えて全国9都道県の自衛隊基地・施設も初めて使用されます。
③5月10日には、自衛隊の陸海空各部隊を一元的に指揮する「統合作戦司令部」を25年3月に東京・市谷の防衛省に設置することを盛り込む関連法(自衛隊法・防衛省設置法など)の改悪が可決・成立しました。全部隊の指揮権を持つ統合作戦司令官をトップに240人規模で構成され、平時から統合部隊の運用計画策定や訓練を重ね、米軍との関係強化を図るというものです。これについて区長の見解を伺います。

あらためて地方自治法改悪の本質をはっきりさせれば、緊急事態条項の導入を先取りする事実上の改憲です。マスコミや自治労本部、全国の自治体首長は、政府に「地方の意見の尊重」を求める形をとって、戦争の問題に絶対に触れようとしません。地元の空港・港湾の軍事利用の推進、改憲を公然と主張する首長も出てきました。自治体労働者を侵略戦争と国家総動員の手先とするための地方自治法改悪を絶対に止めなければなりません。
④地方自治法改悪について、今年2月の1定の一般質問でも尋ねましたが、「危惧している」という趣旨の総務部長の答弁のみでした。区長は、地方自治法改悪の一番の問題はどこにあるとお考えか。お答えください。
⑤地方自治法改悪で現行の有事法制の規定をも超えて、米軍や自衛隊の基地建設、民間施設の軍事利用など、住民名簿の供出を含む自衛隊への「協力」など戦争遂行のためのあらゆる業務を自治体に命令できるようになります。これは戦時独裁法であると考えますが、区長の見解を伺います。
⑥自衛官募集事務で昨年度に閲覧専用名簿の対象となった人数と年齢・性別ごとの内訳を伺う。昨年度は何人が入隊・入校したのか。過去5年間の合計人数も伺う。
⑦他の自治体では名簿を提出しているところもあるが、当区における現状と検討状況を伺う。
⑧今年3月に開かれた自衛隊入隊・入校予定者激励会について伺う。参加者の内訳を伺う。会に参加した区長はどのような挨拶を述べたのか。
⑨自衛官募集事務と激励会参加を辞めるべきと思うが、区長と教育長の見解を伺う。

【2】広島平和学習中学生派遣事業について

①2022年から始まったと認識していますが、事業の概要と目的を伺う。また、行程のプログラムは誰が決めているのか。
②2022年度と2023年度の応募人数はそれぞれ何人だったのか。
③2005年4月に開館した「呉市海事歴史科学館」(通称:大和ミュージアム)を見学する理由は何か。区長や教育長は実際に行ったことがあるのか。
大和ミュージアムは全長26m以上の巨大な戦艦大和の10分の1模型が最大の「売り」で、その他ゼロ戦の実物や旧海軍の戦艦、空母の模型も多数展示されています。しかも、大和ミュージアムの隣には海上自衛隊の退役した巨大な潜水艦の実物の展示や、海上自衛隊の資料館もあり、大和ミュージアムと「セット」で子どもを自衛隊に勧誘しているようなものです。大和ミュージアムの展示の流れは、司馬遼太郎や「つくる会教科書」と同じで、「欧米列強の進出」に対抗して日本もがんばって軍をつくり、日露戦争に勝って「発展」していった、それで軍港・呉も栄えた、という「成功物語」があり、しかしアメリカとの戦争に「追い込まれ」、呉もさんざんに空襲されて壊滅し、最後は原爆投下で終わった、という話になっています。日本帝国主義の侵略と戦争に対して日本の労働者人民や何よりも朝鮮、中国、アジア人民が抵抗し闘った歴史、それを日本帝国主義政府・権力が徹底的に弾圧したというような歴史は皆無です。そこに子どもたちを行かせることが、平和教育になると確信しているのか。区長と教育長の見解を伺います。
④プログラムに8月6日の平和記念式典への参列があるが、イスラエルとアメリカの代表が参列することについて区長の見解を伺う。
⑤松井市長が平和教材から「はだしのゲン」と、「第五福竜丸」(ビキニ被曝)の記載を削除したことについて区長の見解を伺う。
⑥松井市長が教育勅語を礼賛していることについて区長の見解を伺う。
⑦昨年の広島平和記念式典において、松井市長が「核抑止論は破綻している」と述べたことに対して、直後に松野官房長官(当時)が「アメリカの核抑止力は不可欠で機能している」とあわてて否定しました。今年の式典を巡っても大きな問題となりますが、いわゆる「核抑止力」についての区長の見解を伺う。
岸田政権と広島市・松井市長は8月6日、反戦反核の声を上げることを右翼とグルになって弾圧し、5人を3か月以上も勾留しています。岸田ら裏金脱税の自民党政治家は野放しで、三菱など軍需産業と一体で戦争政治を続けています。広島市議会では今年2月27日、8月6日に原爆ドーム周辺での反戦反核集会を事実上禁止することを求める「請願」が採択され、それに基づき、今年は8月6日当日に原爆ドーム・平和記念公園周辺を鉄柵で封鎖し、手荷物検査が行われることとなりました。被爆者を排除し、反戦反核の集会を禁圧し、イスラエルやアメリカの政府の代表を招く式典など断じて許すことはできません。
⑧原爆の日に原爆ドーム前で反戦反核の声があがるのは当然と考えるが、区長の見解を伺う。

【3】保育園の民営化と「誰でも通園制度」について

(1)保育園の民営化について
①杉並区における保育園の民営化の始まりが、高井戸保育園の指定管理導入でした。その高井戸保育園が来年4月に完全民営化されます。民営化の経緯について伺います。
②高井戸と同様に指定管理が導入されている堀ノ内東も今後完全民営化される予定となっています。指定管理を経て完全民営化された保育園はこれまで何園あるか。
③民営化にあたって職員から具体的にどのような意見が出ていたか。保護者への説明会ではどのような意見が出たのか。また、その意見はどのように反映されたのか伺います。
④民営化された園は今後区の管理責任はどう変わるのか。民間の保育園とどう違うのか。

(2)「誰でも通園制度」について
「戦争体制づくり=産めよ増やせよ政策」の子ども子育て支援法が、4月20日衆院を通過し、今国会で成立の見通しとなりました。支援法の「売り」にしようとしている「誰でも通園制度」は、地方自治体が実施責任をもって、その内容を決めてきた保育・子育て支援を根本から変えていくものです。しかも、デジタル申請にすることでマイナンバーカードや自治体DX(デジタルトランスフォーメーション=デジタル技術を使った業務変革)を進め、国家が住民の情報すべてを掌握する構造そのものに使われようとしています。しかし、自治労本部は、この最大の問題を見すえず、「通園制度」は子どものための「良い政策」だと組合員に思わせるために、子ども家庭庁の役人を呼んで学習会をやっている有様です。

杉並区では7月1日から『保育室若杉』に限定して試行し、本格実施に向かおうとしています。杉並在住の保育労働者の声を紹介します。「『広い園庭で遊べる。月10時間まで利用できる。月額2750円で預けられる(給食あり)。保育士による育児相談できます』と宣伝されていますが、生後8か月から2才の子どもが、突然、知らない人にほんの数時間預けられたら、どんなことになるか想像してみてください。初めて保育園に預ける時は、慣らし保育をやって徐々に子どもと信頼関係を作ることから保育が始まります。通常保育をやりながら『通園制度』の子どもも保育することの大変さを全く分かっていません。保育園に通っていない子どもと保護者の支援はもちろん必要です。これまであった児童館の乳幼児支援策を充実させればいいのです。児童館を潰して、学童クラブの民間委託を進めておいて何が子どものための事業でしょうか?」という切実な声です。

⑤「誰でも通園制度」について。今年度からの保育室若杉での試験的実施の状況を伺う。応募総数は何人だったか。実施にあたって職員の配置はどのように対応したのか。
⑥来年度以降、どのように実施していく予定なのか。何園で行う予定か。

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