杉並区議会第1回定例会での一般質問

【1】岸田政権の大軍拡について

 1月9日、米バイデン政権と直結する戦略国際問題研究所(CSIS)が公表した「中国の台湾侵攻シミュレート」では、「中国との戦争は第二次世界大戦後に米国が経験してきた地域紛争や対ゲリラ戦争とは根本的に異なり、近年にない死傷者が出る」と強調し、「重大な死傷者に直面しても作戦を継続する必要性を認識せよ」と明記しています。報告書はさらに、「日本こそが要である。在日米軍基地の使用なしには、米軍の戦闘機・攻撃機がこの戦争に効果的な形で参戦することはできない」と強調し、日本政府が緊急事態宣言を発し、自衛隊が米軍と一体で参戦して大量の死傷者を出すことが前提となっています。中国・台湾・南西諸島が戦場となり、膨大な数の住民が命を落とすことも承知の上で、アメリカが昨年10月に米国家安全保障戦略で「中国を打ち負かす」と述べているように、現政権転覆のための侵略戦争が準備されているのです。

 この中で昨年12月16日、岸田政権は「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略」「防衛力整備計画」の安保3文書を閣議決定しました。他国を直接攻撃する能力の保有(=事実上の先制攻撃能力)、5年間で43兆円という戦後史上空前の大軍拡、公共インフラ等の軍事利用、南西諸島の軍事要塞化など、いずれも憲法9条に規定されてきた安保・軍事政策の戦後的制約を完全に踏み破るものです。これは今日の世界戦争=核戦争の切迫という時代の中で起こっている事態です。しかし、先ほどのCSIS報告にあるように「日本こそが要」ということは、日本の民衆が戦争絶対反対で行動に立ち上がり、国内の戦争遂行機能をストップさせれば、米日による中国への戦争を阻止できるということです。いま世界中で、戦争反対や生きるためのデモ・ストライキが激発しています。労働者・住民の実力行動こそが社会を変え、戦争を止める唯一の道であると確信します。

 1月25日、アメリカとドイツが主力戦車をウクライナに投入するという衝撃的なニュースが流れました。ドイツ製戦車が「対ロシア」の実戦兵器として戦場に姿を現すのは、ナチス・ドイツが仕掛けた独ソ戦以来の事態です。米欧が主力兵器を与え、ウクライナ兵を自国に招いて訓練させロシアとの戦闘に送り出す――これは米欧による「対ロシア戦争」そのものです。追い詰められたロシア・プーチンは、2月2日にスターリンの「大祖国戦争」になぞらえて動員を拡大し、戦争を継続しようとしています。ウクライナ戦争は、米欧とウクライナ・ゼレンスキー政権が一体となった勢力と、プーチンを頭目とするロシアの支配勢力との激突であり、どちらの勢力も労働者人民の敵です。この強盗たちの利益のために、ウクライナとロシアの労働者人民が殺し合いをさせられ、この戦争をもって現実に開始された史上3度目の世界戦争が、米日による中国侵略戦争という形をとってさらに進み、全人類を未曽有の惨禍へと引きずり込もうとしています。これが今、全世界の人々が直面している現実であり、その中での日本の大軍拡と参戦国化の動きです。岸田政権は金銭や防衛装備だけでなく、攻撃的武器までもウクライナに提供できるように今通常国会で法改定しようとしています。戦争を終わらせるどころか、ウクライナの人々に対し、「最後の一兵まで戦え」と戦争の火に油を注いでいるわけです。さらに岸田政権は、「G7議長国」として2月24日にゼレンスキー大統領との対談を追求するなどウクライナ戦争の当事国として積極的に参戦しようとしています。

 さらに、「中国の脅威」なるものが政府やマスコミによってあおり立てられ、日本の歴史的大軍拡や他国領土への攻撃があたかも「自衛のための正当な行為」であるかのような宣伝がなされています。しかし、これはまったく転倒した論理であり、現に、米政権の公文書で中国の現政権の転覆を宣言し、大規模な軍事演習を中国の面前で繰り広げて挑発を行なっているのは米軍であり自衛隊です。この軍事的重圧に対して生き残りのために軍事的にのみ対抗しているのが習近平政権です。

 戦争と愛国主義についての有名な言葉があります。「国民を戦争に巻き込むのは簡単なことだ。自分たちが外国から攻撃されていると説明するだけでいい。そして、平和主義者については、彼らは愛国心がなく国家を危機にさらす人々だと公然と非難すればいいだけのことだ。この方法は、どの国でも同じように通用する」――これはナチスの幹部として悪名を馳せたヘルマン・ゲーリングの言葉です。今こそ私たちは、戦前の際限のない軍事費の増大を教訓化し、政府の振りまく「愛国主義」宣伝を拒否すべきです。敗戦の前年である1944年にはなんと国家予算の85%が軍事費に投入され、民衆の生活は完全に無視され、破壊し尽くされました。それが「自存自衛の大東亜戦争」の美名で正当化され、生活破壊には「欲しがりません勝つまでは」と我慢と忍従が強制されました。侵略戦争はいつでもどこでも「自衛」の名をもって始まり、その矛盾は労働者民衆に集中します。今、目の前で始まっている戦争をとめなければ命も生活も守れません。

 今年1月に入ってから毎週、全国から集まった右翼の街宣車が杉並中を走り回り、「ほらぐちともこを叩き殺せ」「ほらぐちともこは議員を辞職しろ」「反戦デモを中止しろ」「戦争賛成」「アホな杉並区民がほらぐちなんかを当選させやがって」など、私のみならず区民への罵詈雑言を大爆音でまき散らしています。あまりの騒音に現場で抗議した区民の方々を、右翼は威圧し恫喝しています。私を名指しして殺害を公然と宣言し、反戦デモを中止させようとデモ参加者に実際に殴りかかり、区民に悪罵を投げつけるこの右翼の言語道断の狼藉(ろうぜき)行為に対し、警察はそれを注意し制止するどころか、右翼と談笑しながらやりたい放題にやらせて爆音まき散らし行為をけしかけているありさまです。右翼の要求は「反戦デモの中止」であり、杉並の地から戦争反対の声が消え去って、全区民が権力者に対して抗議の声を一つも上げられなくなるまで爆音をまき散らし続けて住民生活を破壊すると宣言しているのです。これが「戦争の現実」でなくてなんなのでしょうか。右翼の襲撃は岸田政権の本性を表しているのではないでしょうか。杉並から始めた軍事費2倍反対署名は3500筆を超えました。1月29日の荻窪駅前での署名集めでは途中から右翼が大爆音で妨害に来ましたが、その中でも足を止めて署名をしてくれる方、激励をしてくれる方が次々と現れ、その場で100を超える署名が集まりました。戦争だけは絶対に許さないという怒りです。

<質問> 国会に出されている来年度予算案での「軍事費2倍化」について、区長の見解を伺う。また、このかんの右翼の街宣車による大爆音の妨害を区は認識しているか伺う。抗議する区民を恫喝し議員を公然と殺害予告するこのような右翼の襲撃に区はどのような見解をお持ちか伺う。

【2】自衛官募集業務について

 全国1741の市区町村のうち、昨年度は962の自治体が、住民の知らぬ間に防衛省の自衛官募集業務に関与し、勧誘の対象として若者の個人情報(氏名・住所・生年月日・性別)を無断で自衛隊に提供している事実が明らかになり、大問題になっています。自衛官募集をめぐっては21年2月、防衛省と総務省は市区町村に「募集業務に関する資料の提出」を求める通知を発出し、それまでの住民名簿の「閲覧」から「提供」に切り替える自治体が続出しています。判明しているだけでも神奈川県横浜市や相模原市、京都市、岡山市などでは、自衛隊が勧誘の手紙を送る宛名シールを印刷して渡すことまでしています。神奈川県横須賀市や川崎市、静岡市なども名簿を提供しています。

 戦争が現実のものとして迫る中で、自衛官への応募者が激減し、募集対象の18~26歳を32歳まで引き上げましたが、2012年度に約11万5千人だった応募者数は、21年度は約8万5千人でした。「ロシアのウクライナ侵攻で我が子を自衛隊に入れたくない親世代が増えた」とこぼす自衛官もいるといいますが、当然のことです。定年年齢を引き上げ再任用枠も広げたが、自衛官不足が自衛隊本部を締め上げています。この危機的状況下で政府は自治体に協力を迫り、中には生活保護世帯・住民税非課税世帯の若者の情報を自衛隊に提供し、学校での勧誘や戸別訪問に手を貸す自治体まで出ています。貧困が広がる中での社会保障費削減と一体で、自衛官応募に誘導する「経済的徴兵制」が始まっています。

 しかし各地で住民訴訟が起こり、闘うことで情報提供を中止に追い込んだ勝利も出ています。強制ではない、法的根拠がないとして応じない自治体もあります。杉並区も自衛隊本部による閲覧自体をやめさせるべきです。

<質問> 当区における自衛官募集業務はいつから始まったか。また、当時と現在で募集業務の内容に変化はあるか。閲覧専用名簿の対象者の年齢・性別をあらためて伺う。昨年度(令和3年度)と今年度(令和4年)はそれぞれ何人が対象となったのか。自衛官募集業務が始まってから現在まで、閲覧専用名簿に掲載された人は合計何人か。板橋区と渋谷区では閲覧のみならず名簿を自衛隊本部に提供しているが、これについての区の見解を伺う。また、当区で提供の予定はあるか伺う。自衛官募集業務は中止すべきと思うが見解を伺う。

【3】会計年度任用職員制度について

 制度が始まってからこの3月で3年となります。「3年を上限」としている自治体ではこの3月での大量の雇止めが予想されます。報道では、北海道だけで3000人を超える雇止めが行われるとされています。杉並区では「6年の雇用年限」としていますが、その不安定雇用や低賃金はまったく同じです。常勤3500人に対して、会計年度任用職員は2500人以上。そしてその9割が女性です。10年以上勤務している会計年度任用職員が多く在籍している現状をみても、「短期雇用」ではないこと、「補助的業務」とは言えない役割を担っていることは明白です。常勤職員とともに、第一線で杉並区の自治体業務を日々支えているのが会計年度任用職員ではないでしょうか。彼女ら彼らの働きなしには、この杉並の自治体運営は1日たりとも回りません。

 しかし、制度上「1年ごとにクビをきられる」のが会計年度任用職員です。さらに年度ごとの更新の可否は評価制度と紐づけられています。所属長による恣意的評価に年度ごとに左右される超不安定雇用。職場でのハラスメントもこれに連なる深刻な問題です。

実際に、今年度末で、年限を迎え再公募し、更新を希望したにも関わらず、雇止めに合う会計年度任用職員が複数名いると聞いています。制度上の話だけではなくなっているのです。

 常勤並みの責任ある仕事を任せておいて、区側の都合でいつでもクビを切れる、冗談じゃない、人の命と労働をなんだと思っているのか。「会計年度任用職員を雇用の調整弁にはしない」(岸本区長『都政新報』)のではなかったのですか。雇用年限の撤廃はただちに実行されなければなりません。そして、会計年度任用職員制度そのものの撤廃しかないと考えます。さらに賃金は常勤職員の三分の一、昨今の物価高でダブルワークを余儀なくされている職員も多いと聞いています。生きていける賃金、子育てできる賃金をいますぐ保障すべきです。

 また昨年11月に区長が発表された「ハラスメント・ゼロ宣言」ですが、回答者の15%にあたる411名の職員が「ハラスメントを受けたことがある」と回答したのは衝撃的でした。しかしこれも氷山の一角、まだまだ表面には現れないハラスメントが現場では横行しているのではないでしょうか。その原因は、「職員の自覚」の問題だけではありません。正規と非正規、常勤職員と会計年度任用職員というこの制度がうみだしている職員間の分断構造だと考えます。また、人員不足、業務量の増大による労働強化も大きな原因です。心身に不調をきたし、休職を余儀なくされる職員もあとを絶たないと聞いています。これは「宣言」だけでは解決できない問題です。本質的な人員不足の解決には、会計年度任用職員全員を、少なくとも希望する人を、正規で雇用する以外にないと考えます。

<質問> 今年度末に雇用年限の限度を迎える職員は合計何人いるのか。今年度に区立学校で働く会計年度任用職員の人数を伺う。区費と都費の内訳を伺う。また、ほとんどの学校に1名ずつ「短時間」の職員が配置されているが、どのような仕事を担っているのか。区立保育園で働く会計年度任用職員は何人いるのか。全員を正規で雇うべきと考えるが区の見解は。「雇用年限の撤廃」について区長の見解を伺う。制度を廃止し、会計年度任用職員全員を正規で雇用するよう求めるが見解を伺う。

【4】保育園の民営化について

 今年4月に大宮保育園、同年11月に天沼保育園、さらに来年4月に永福北保育園が民営化されます。さらに、保育園調理用務職員の退職不補充と包括委託が打ち出されました。調理や用務の仕事は日雇いだった労働者たちが闘って正規雇用を勝ちとってきた仕事です。現業労働者の仕事を包括委託するということは、現業の仕事を低賃金で不安定な非正規にすることにつながります。労働組合の重要な担い手を削ぎ落とす組合破壊でもあります。また、包括委託したら仕事の技術が継承されず、企業のやりたい放題になると思います。

 私は保育園の民営化に反対です。前区長は「杉並区立施設再編整備計画」を策定し、「道路・橋梁(きょうりょう)を除く596施設」を民営化するという計画を打ち出しました。区の人件費削減のために、公的事業を民間に丸投げし、区の公的責任を投げ捨てるものでした。前区長のもとで徹底して行われてきたことの一つが、保育園の民営化です。前区長は「待機児童ゼロ」の掛け声のもと、認可保育園を増やす一方で、区立保育園を次々と民営化してきました。公立保育園に指定管理者制度を導入して、管理を民間に委託。段階的に7割を民営化する計画でした。

 この間、新たに設置された保育園の多くは民間企業が運営するものです。民間企業が運営する保育園では、資格をもった保育士が足りない、劣悪な労働環境によって保育士が集団退職、子どもにまともな給食が与えられなかったなど、悪いニュースが後を絶ちません。低賃金、人員不足、非正規職など、劣悪な労働条件のもとでは、労働者が子どものためにいくら身を削って働いても限界があります。労働者の思いをふみにじり、民間会社が利益を優先し、子どもの命、健康、安全を損なっています。

 ある保育士は「子どもが育つ環境でない保育園が規制緩和の中でたくさんあります。子どもの人数に対する保育士の数も減らされ、規制緩和の中で保育士や子どもにしわ寄せが来ています。子どもたちの人権が置き去りです」と怒りをもって指摘しています。民間の保育園から区立保育園に転園した保護者2人から話を聞く機会がありました。どちらの方も「子どもの人数は変わらないのに区立は職員の人数が2倍以上。直営は『営利優先』じゃないから預ける方としては安心度が違う」と言っていました。民営化ではなく、直営の保育園を増やすべきという立場から以下質問します。

<質問> 指定管理者への業務委託や外注化など、行政事業の民間委託さらには民営化のありようについて、そもそも区長はどのような認識をもっているか?直営保育園を民営化しはじめたのはいつか。指定管理者含めた民営化した園の数は何園か。保育園の民営化をやめるべきと思うが見解を伺う。

【5】児童館について

 児童館は子どもの命と成長を守る場所であり、そこで働く労働者は誇り高い存在です。今でさえ非正規の労働者は、不安定雇用・低賃金にされ、ろくな研修も受けられずに障害を持ったお子さんやアレルギー児の対応に当たるという、不安な労働状況におかれています。区直営の児童館が閉鎖され、業務が民間委託されれば、労働者の非正規職化がいっそう強行されます。労働者の命と安全が保障されない場所で、子どもたちの命と安全が守れるはずもありません。これまで受け継がれてきた児童館労働者による、誇るべき児童の健全育成のためのノウハウ、日々の遊びや、地域を巻き込んだイベントなども、民営化によって失われるわけにはいかない崇高な杉並の財産です。

  これまでも児童館は「子どもの居場所」のみならず、増え続ける子どもたちの生きづらさ、DVやネグレクトなどの家庭困難ケースなどにいち早く対応できる地域のセーフティネットとしての機能も重視されてきました。日常業務の中で子どもたちや保護者と密接な信頼関係を持つ児童館だからこそ可能なことです。子どもの貧困や児童虐待が社会的問題として深刻化する中で、児童館の役割はますます重要です。

 子ども子育てプラザに「小学生タイム」を、「児童館機能の継承」をと言っていますが、そもそも子ども子育てプラザを乳幼児に特化した施設として作った意味はなんだったのか。そして今、再び小学生にも利用の機会を、と半端なことをやる意味はなんでしょうか? 圧倒的に矛盾しています。

 子どもたちにとって、0歳〜18歳なら誰でも遊べる場所であり、学童クラブという安心の場もあり、困ったことがあれば頼れる大人・職員もいる、開館していれば何時でもフラッと遊びにいける。しかも無料で。それが児童館です。それを、「ごめんね、ここは〇歳までの子しか遊べないの」「ごめんね、今日は小学生は〇時〜〇時しか遊べないよ」。こんなことを言われる施設は、本当に子どもたちの目線に立った施設でしょうか? 大人の都合でしょう。すべての児童館を直営に戻すべきです。

<質問> 児童館廃止で学童機能の民間委託が進んでおり、受託企業の労働者の労働問題についても様々な問題があると思っているが区の見解を伺う。廃止された児童館をすべて戻すべきと思うが区の見解を伺う。

【6】汚染水チラシについて

 岸田政権は2月10日、「GX(グリーントランスフォーメーション)実行に向けた基本方針」を閣議決定し、①現在稼働中の10基に加え今年夏以降に7基を再稼働する、②「次世代革新炉」の開発・建て替え・新増設の推進、③原発運転期間を原則40年→60年以上に延長、④核燃料サイクル事業の推進を宣言しました。3・11原発事故、避難の苦しみや関連死、ふるさとの喪失、放射線被曝による健康被害などを一切なかったことにして原発政策を推進する許しがたい暴挙です。

 さらに岸田政権は1月、放射能汚染水の海洋放出の時期を「今春から夏頃」とする方針を示しました。トリチウム汚染水の危険性に関する科学的検証を完全に放棄し、「薄めれば安全」などと事実をねじ曲げて放出を強行しようとしていますが、「安全な放射性物質」など存在しません。一昨年には相馬沖の魚から高濃度のセシウムが検出され出荷停止となっています。「風評」ではなく「実害」が問題になっているのです。政府ですら「処理水」の中にはトリチウム以外の放射性物質が基準を超えて残留していることを公表せざるをえなくなっています。

 1月26日の中央日報では、米国ミドルベリー国際大学院の核物理学者フェレン・ダルノキ・ベレス教授が、東電が約4年間調査した汚染水データを分析し、「汚染水には何が入っているか分からない」と明言しました。さらにべレス氏は、「東電は64の放射性核種を測定していると言うが、資料を見ると9つの核種しか検査していない。また、タンクの4分の1だけで測定し、主にタンク底にある高水準のスラッジ(カス)廃棄物の濃度は情報が一切ない」「最も憂慮する点は漁業産業への影響」と述べています。

 杉並区は「汚染水=安全」という宣伝にこれ以上加担すべきではありません。さらに、ビキニ環礁における水爆実験で第五福竜丸と同じく核被害を受けた人たちが、「広島と長崎の2つの都市で核兵器による残酷な経験をした日本が、なぜこれ以上、核廃棄物で私たちの太平洋を汚染しようとしているのか。私たちにとって、この無責任な越境加害行為は、太平洋に暮らす私たちと、私たちの島々に核戦争を仕掛けるのと同じことだ」と訴えています。原水禁運動発祥の地である杉並が、核に反対するのではなく、裏切り行為に手を染めていいのでしょうか。

 そして、区がこれまでの答弁で繰り返し述べている「科学的」という言葉ですが、その「科学的」という言葉を使って命と健康よりも企業利益を優先して安全基準を緩和し続けてきた先に福島原発事故があったのではありませんか。この歴史の教訓を杉並区は忘れたのですか。私は何度でも問います。原子力産業の利益のために子どもたちの安全を脅かすのではなく、子どもたちの命を守る側に立った教育を行うべきです。

<質問> 区として明確に「原発汚染水の海洋放出反対」の姿勢を示すべきと考えるが見解を伺う。チラシは学校の授業で具体的にどのように使われたか。対象学年も伺う。チラシはただちに回収すべきと思うが、区の見解を伺う。

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