決算特別委員会での意見開陳(10月15日)

決算特別委員会最終日の10月15日に、2023年度の決算認定反対の立場から意見を述べました。(写真は10月3日の決算特別委員会での写真です)

【1】
 2023年度は世界戦争・核戦争情勢が一気に加速した1年でした。ウクライナ戦争への参戦国化、5年で2倍の大軍拡予算、G7の核のみを正当化した広島サミット・広島ビジョン――すべてが米日による中国への侵略戦争に向かって動いています。この戦争を止めることが自治体として求められています。
 9月25日の海自艦の台湾海峡「初」通過、来週10月23日から始まる「キーン・ソード25」をはじめ数多くの日米共同演習、多国間演習など、米日帝国主義こそがすさまじい戦争挑発を行い侵略戦争準備を加速させています。危機を深める中国スターリン主義もまた、体制維持のために軍事的対抗を強め、米日帝国主義はそれをも餌食に戦争に突き進んでいます。
 「2027年台湾有事」はリアリズムを一気に増しています。今年7月には13人の現職国会議員と自衛隊OB、米軍と台湾軍の関係者ら60人が参加した「台湾有事」の机上演習が行われました。そのシナリオは、①24年8月~26年8月を「平時~ライト・グレーゾーン」、②26年9月~27年2月を「ダーク・グレーゾーン」、③27年2月~6月を「現状変更への着手」の3つに区分し、どの段階で「武力攻撃予測事態」を認定し、「南西諸島の全島避難」を発動するかなどが検討されています。すでに私たちは「ライト・グレーゾーン」に入っています。このままでは「2年半後に開戦」です。9月6日付日経新聞が〝2027年の台湾有事に対応できる資質、決断力・胆力をもった総裁を選べ〟と主張したように、石破政権は中国への侵略戦争突撃内閣です。
 岸本区長はこの戦争に反対しないどころか、自衛官募集業務、入隊予定者激励会、汚染水安全教育を前区政同様に粛々と進めています。岸本区長自ら「マイナ保険証は被保険者の利便性向上や行政の効率化、医療事務の効率化を目的に実施されている」「汚染水の海洋放出について、政府は環境や人体への影響はないとし、国際原子力機関も問題ないとしている」と自民党政権の「代弁者」「スポークスマン」さながらの見解を述べ、「国民の理解を得られるよう説明を尽くすべき」と労働者・住民の怒りを抑えつけています。
 さらに、平和学習の名で広島平和記念式典出席と「大和ミュージアム」に中学生を派遣しました。区長と教育委員会は「日本のアジア侵略の歴史をどう思うか」との質問には一切答えない一方で、広島平和学習中学生派遣事業に賛成の議員に質問されて「子どもたちはこんなに真剣に学んだ。素晴らしい事業だ」と答えてそれで満足なのでしょうか。「大和ミュージアム」を見学先に選んだ行政・教育委員会の責任を問うているのに、子どもたちに乗っかって何の反省も総括もせず、しれっと「来年は見学先を変えることも検討」など言語道断です。「2027年開戦」に最も直面するのは子どもたちです。徴兵制に直結する自衛官募集業務を進めて、何が「平和」「子どもの権利」でしょうか。海洋放出の「地ならし」として原発汚染水安全教育をして、G7の核兵器を容認する広島ビジョンを礼賛して何が「核なき世界」でしょうか。
 アジアへの侵略戦争は「自衛」のためとして強行されました。「自衛権」の容認はイスラエルによるガザ大虐殺、中東戦争の全面的拡大の承認・支援に直結します。何よりもアジア唯一の帝国主義として日本が中国、朝鮮、アジアで繰り広げた侵略と植民地支配、虐殺、差別・抑圧、強制労働と性奴隷—-いま日帝と全右翼反革命勢力が総力をあげて暴力的に抹殺しようとしているこの全歴史を絶対に繰り返させないことが今こそ必要です。かつての戦争を「立場によって様々な見方がある」などと自分の見解を述べずにあたかも中立を装う政治家もいますが、「自衛戦争だった」という居直りがまかり通るのは日本が侵略戦争を行った側だからです。かつて台湾を50年にわたって植民地支配し、中国大陸に百万もの侵略軍を送り込んで延々と侵略・虐殺・略奪を繰り広げた日本が、再び台湾に介入し中国に向かってのミサイル基地、出撃基地を南西諸島・日本全土につくりあげ、大軍拡をやって侵略戦争を構えることなど断じて許してはなりません。
 アメリカ・バイデン政権のシンクタンクが「日本は台湾防衛の要」と位置づけ、日本政府も「日米安保の大転換」「日米同盟の最大のアップグレード」「米軍と自衛隊の一体化」を進めてきたように、日本の参戦なしには中国への侵略戦争を実行できないことも明白です。つまり、日本の労働者人民にはこの戦争を止める責任と、そしてその力があります。

【2】
 私は、誰が区長であろうと、再開発・民営化・非正規化に絶対反対です。
 今年1月、岸本区長はYouTube動画で阿佐ヶ谷再開発(最大焦点である「杉一小の河北病院跡地への移転」)を宣言しました。再開発の最大目的は資本家と大手ディベロッパーの金儲けです。いまだに多くの住民が反対しているのは、再開発が住民のためのものではなく、屋敷林が潰され、杉一小の子どもたちが病院跡地に追いやられ、杉一小移転後にその土地に何ができるかも発表されていない計画だからです。決算特別委員会で他の委員が指摘した吉田元副区長の河北病院の顧問就任こそ典型的な天下りであり、阿佐ヶ谷再開発の不正犠性を象徴するものです。
 岸本区長の「対話の区政」とは、一体何なのでしょうか。区長は昨年2月9日の議会で、「仮に同じAという結論に至るとしても、そこにどうたどり着いたかというプロセスが大切であり、異なる意見や考えを持つ方とも、胸襟を開いて対話を重ねることで、相互理解を深め、対立ではなく協調による合意形成の道を開くことにつながると確信している」と述べました。「仮にAという結論に至るとしても、…対話を重ね(て)…合意形成の道を開く」――これこそ、権力者が自らの決定を労働者民衆に押し付ける際の使い古された常套句です。このやり方の最大のペテンは、決定が「対話」によって覆ることは絶対にないと事前に決まっていることです。絶対にお上の決定は覆ることはないことを、行政権力を背景に「対話」を通して区民に見せつけ、無力感を与え、黙らせ、あきらめさせる。そして対外的には、「お話は聞きました」というフリをして、「リベラル」「前区長とは違う」とアピールをできる。マッチポンプそのものです。現実に、この2年間の岸本区政の中で起きたことはそうだったではありませんか。岸本区長はあたかも「合意形成」を重視しているかのポーズをとっている分、前区長以上に悪質で卑劣で区民を愚弄しています。

 最後に、自治体業務を第一線で担う会計年度任用職員の雇用年限と制度そのものの廃止、希望する全員を常勤で雇うことを求めます。保育園をはじめとした公的部門の民営化政策に、杉並区として反対するのが区民の生活と命を守る立場にある者の義務です。岸本区政で保育園3園が民営化されました。保育園の民営化、学童クラブの民間委託を撤回し、廃止された児童館を元に戻すべきです。

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