杉並区議会第3回定例会で一般質問に立ちました!

【1】区長の政治姿勢について
(1)1987年のブラック・マンデーを超える世界同時株暴落と株価の乱高下、アメリカから全面支援を受けたウクライナ軍によるロシア国内への攻撃、イスラエル軍によるイランやレバノンへの攻撃とイランによる反撃など、世界大恐慌と世界戦争・核戦争情勢はその歯車を激しく回転させ、全世界を覆っています。今日の戦争の最大の原因は、圧倒的な軍事力・経済力をもって第2次世界大戦後の世界を支配し続けてきたアメリカ帝国主義の歴史的没落が決定的な段階まで行き着き、アメリカがこの没落の危機からの脱出をかけて、GDP第2位の中国に対する侵略戦争・世界戦争を開始しているということにあります。この帝国主義に対し、中国のように軍事対抗的に対決するのではなく、労働者階級の国境を越えた団結と行動を呼びかけ、自国の政府を打倒して戦争を止めることこそが求められています。腐りきった自民党議員の巨額裏金事件を居直る一方で、物価高騰下で困窮に苦しむ民衆に対しては戦争と大軍拡のための負担増加・大増税を押しつけ、沖縄をはじめ日本全土の軍事拠点化を推し進めてきた岸田首相が、人民の怒りでついに辞任に追い込まれました。歴代政権のもとで金権腐敗にまみれ、旧統一教会や日本会議などの腐りきった極右勢力と癒着して改憲・戦争国家化の攻撃を推し進めてきた自民党が、総裁選で「生まれ変わる」などと本気で信じている人は皆無です。実際、岸田退陣という政治支配の崩壊の中でも、防衛省は8月20日に辺野古新基地建設に向けた大浦湾での新たな工事を強行、その翌21日には過去最大となる防衛費8兆4989億円を来年度予算の概算要求に計上することを打ち出しました。8月23日には、昨年12月に嘉手納基地所属の米兵から暴行された被害少女が、那覇地裁で行われた同事件の公判に出廷し、戦時の性暴力というべき事件の真相を5時間にわたり証言しました。性暴力をはじめとした米軍の凶悪犯罪を隠ぺいしながら、琉球弧のさらなる軍事要塞化を進めようとする米日政府を断じて許すことはできません。
排外主義と戦争への突進を競い合う9月自民党総裁選に続いて10月衆院解散―11月総選挙も予想され、何より米大統領選に向かって世界戦争情勢がますます激化する中で、本当に戦争を止め社会を変えるにはどうすればいいのかがすべての地域・職場・自治体で鋭く問われています。
11月米大統領選に向けて民主党ハリスと共和党トランプの「接戦」が報じられていますが、8月19日から始まった民主党大会会場では、「バイデンもハリスもイスラエルのジェノサイドの加担者だ」と数千人が抗議デモを行いました。8月22日の指名受諾演説でハリス氏は、「21世紀の競争で米国が中国に勝利する」「世界的なリーダーシップを放棄せず、強化する」と強調し、アメリカ帝国主義の基軸国としての地位と世界的覇権をかけて中国を打ち負かす「決意」を全面に押し出しました。そして、「最高司令官になれば、私は、米国が世界で最も強力で、最も殺害力ある軍隊を保持し続けるようにする」とまで主張しました。さらに「ウクライナと北大西洋条約機構(NATO)とともに力強く立ち上がる」「私はいかなる時にもイスラエルの自衛権のために立ち上がり、自衛能力の確保を保証していく」と強調し、ウクライナ戦争の継続とイスラエルへの全面擁護・支援を約束しました。
7月28日に都内で開かれた日米2プラス2は、中国侵略戦争を日米一体で遂行するための恐るべき戦争会議でした。極めて重大なのは、これまで作戦指揮権を持たなかった在日米軍に、米インド太平洋軍司令部の持つ権限の一部を付与した「統合軍司令部」を新たに設置することが合意されたことです。今年度末までに日本が設置する陸海空自衛隊の「統合作戦司令部」のカウンターパートになり、部隊運用や作戦立案で自衛隊と連携させるといいます。米日による中国侵略戦争遂行のための前線司令部の設置にほかなりません。アメリカと日本は、「台湾有事」あるいは南中国海などでの「偶発的な衝突」という形で、中国との軍事衝突がいつ始まってもおかしくないと考え、自ら台湾周辺や南中国海での挑発的な大規模軍事演習などを繰り広げながら、対中国の「即応態勢」を構築しようとしているのです。
7月28日の日米外務・防衛担当閣僚協議(2プラス2)に合わせて「拡大抑止」をめぐる日米担当閣僚級会合が新設されました。年内に取りまとめられる予定の初の共同文書には「米国が核兵器で日本周辺の抑止力を高める」ことが明記されようとしています。これについて、区長の見解を伺います。

(2)被爆79年の広島平和記念式典について。
日本のアジア侵略戦争・太平洋戦争の帰結が原爆投下でした。「安らかに眠ってください、過ちは繰り返しませぬから」という碑文は、戦争反対の誓いです。被爆者とその遺族は「原爆の日」に祈りを捧げたその足で、反戦反核行動の先頭に立ち、核と戦争に対する怒りを誰よりも激しく叫んできました。「過ち」を再び繰り返そうとしている者だけが、8月6日をただ祈ることしか許されぬ日として勝手に主張し、国家暴力をたのみに「黙れ」と脅しています。しかし目の前で、自国政府がヒロシマ・ナガサキの惨劇を繰り返そうとしているのに、命令におとなしく従い、口をふさいで黙るならば、それこそ死者に対する裏切りです。
今年8月6日朝、広島平和記念公園内の原爆ドーム前で、8・6ヒロシマ大行動実行委員会が呼びかける反戦反核集会が堂々と開催され、私も参加しました。「原爆の日=8月6日に反戦反核の声を上げさせない」ことを目的とした広島市・広島市議会・警察・右翼が結託した平和公園入場規制=集会禁止は、前夜から泊まり込みで原爆ドーム前を守り抜いた労働者・学生らの固いスクラムによって、完全に無力化されました。
①今年の広島平和記念式典に区長が出席した理由を伺う。②式典にあたって今年は入場規制が行われ、式典会場外の原爆ドーム前での集会等も事実上禁止とされたが、これについての区長の見解を伺う。③式典には虐殺を続けるイスラエルも招かれたが、これについての区長の見解を伺う。④広島平和学習中学生派遣事業について、今年はどのようなプログラムで行われたのか伺う。⑤プログラムに今年も呉市海事歴史科学館「大和ミュージアム」を入れた理由を伺う。施設職員による「大和講座」の内容を伺う。区長ならびに教育長は、大和ミュージアム全体に貫かれている「世界に冠たる巨大戦艦の製造こそが、日本の近代化、戦後の経済発展の礎になった」という、加害責任を不問にした「戦艦大和美化論」を支持しているという認識でよろしいか。⑥日本のアジア侵略戦争・太平洋戦争の帰結が広島・長崎への原爆投下であったことを今こそ子どもたちに鮮明に教えるべきと思うが、区長・教育長の見解を伺う。

(3)関東大震災での朝鮮・中国人虐殺について。
1923 年の関東大震災での朝鮮人・中国人の虐殺から 101 年です。これは当時の日本政府・内務省が翌日に戒厳令を公布し、「朝鮮人襲来」のデマを大宣伝したことによって引き起こされた国家犯罪です。不安や憎悪を政府が意図的にあおり、軍隊や警察、民間の自警団を動員して、少なくとも約 6000 人の朝鮮人と約 800 人の中国人が殺されました。小池都知事は2017年から一貫して、毎年9月1日に行われる朝鮮人犠牲者追悼式典への追悼文を拒否してきました。日本政府も、「政府として調査した限り、政府内に事実関係を把握できる記録が見当たらない」なる答弁を昨年は当時の松野官房長官が行い、今年も林官房長官が「認識に変わりはない」と示しました。こうした姿勢が、極右勢力の「虐殺はなかった」「むしろ暴動はあった、虐殺ではなく正当防衛だ」という許しがたい居直りを助長しています。小池都知事は極右団体「日本女性の会そよ風」の「集会」に許可を与え、追悼式典への襲撃にお墨付きを与えています。断じて許すことはできません。
追悼文送付拒否について、区長は都知事に抗議すべきと思うが見解を伺う。杉並区には現在、在日朝鮮人・中国人の方の人数は何人か。朝鮮第九初級学校がある杉並区として、虐殺の歴史を二度と繰り返さないという取り組みを行うべきと思うが見解を伺う。

【2】自治体労働者の労働問題について
(1)今年12月に紙の保険証の廃止に伴う保健所職員の業務負担について。①他の自治体で働く保健所職員から、「難病や小児慢性特定疾病の申請において、業務には全く不要なのにマイナンバーを住民に書かせ、特定個人情報だからとすぐに墨塗りにする。何度も研修を受けさせられて、業務だけが増える。窓口では今でも保険証のコピーが必須だと言うのに、12月で保険証は廃止。廃止後はシステムで照会しろというが、システム紹介は1件20分もかかり使えたものではない」という切実な声を聞きました。紙の保険証の廃止に伴う業務負担について区はどのように認識しているか伺う。②コロナ禍を経て保健所職員の人員配置はどのように変わったか。2020年当初と2024年当初で保健所職員の人数とその内訳を伺う。③現在、保健所職員の時間外労働はどのようになっているか伺う。

(2)「杉並区こども誰でも通園制度」について。区直営の保育室若杉で今年7月1日から試行的に実施され、10月1日からは私立保育施設17園に拡大することとなっています。他の自治体でも民間先行となっているところが多いようですが、来年3月末で廃止となる予定の保育室若杉以外すべて私立保育施設で行われている理由を区はどのように認識しているか。
自宅で育児をしている保護者と子どもの支援は絶対に必要です。しかし、それを保育園で行わせることには反対です。このかん、複数の保育労働者から現場の声を聞きましたので、紹介します。
・「この制度は自治体の保育実施義務をなくして地方自治法改悪と一体で国家の管理体制に地方自治体を組み敷くもの。政府は国家戦略として産めよ増やせよとこの政策を打ち出した。配偶者・扶養手当ての廃止、遺族年金の一部廃止など、女性が働かざるをえないようにして、子どもを預けさせ、戦争体制の中で安価な労働力としてかりだそうとしているから反対」
・「こども誰でも通園制度は、かつての『戦時保育』と重なる。戦時保育は、教育と保護の機能が一体化し、どんな上流階級の家庭もこどもを預け、女性は戦争のための労働にかりだされた。戦時保育も保育士がたりず、保育補助を使っていた。こども誰でも制度と同じです」
・「岸田首相がTVで出した時に『そんなことできる!?』と叫んだ。子どもは保護者が働いている間、長時間頑張っている。少し預けたい人の子どもが先に帰っていくのをどんな気持ちで見ているか、考えて欲しい」
・「今の自分のクラスを見るだけで精一杯。保育士足りていません」
・「子どもも慣れない。保護者の支援になるとも思えない」
・「子どもの命を預かることのリアルな緊張感を知ってほしい。これで事故が増えても現場のせいにされるのか。いつまで経っても超低賃金、詐欺的な配置基準見直しでお茶を濁され、誰でも通園制度の子どもも同じ配置基準で見ろって、在園児含めて子どもの安全守れません。なんで若手保育士がどんどん辞めていくのか、辞めざるをえないのか、少しは考えてください。保育士不足はますます加速すると思う」
・「保護者のニーズは理解するけど保育はサービスじゃない。子ども1人1人との信頼関係は半年や1年がかりで構築していくもの。性格も発達もアレルギーの有無もみんな違う」
・「数時間だけ預かるなんて、慣れないこどもの負担となるし、泣く子には大人がべったりつかないとだめで、余計に人がいるし、少ない人数で見るなんて危険だから、無理」 ・・・など、切実な声です。政府が進める「誰でも通園制度」は立ち止まるべきという立場から最後に質問します。誰でも通園制度を来年度以降、何園に拡大する予定か。他の自治体の実施状況と比較して杉並区はどうか。現場の職員からはどのような意見が出ているか。今年10月1日から誰でも通園制度を始める私立保育施設17ヶ所の募集人数は何名か。実施に伴いどのような人員配置が行われる予定なのかを伺って質問を終わります。

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【再質問の概要】

日本帝国主義の加害の歴史、アジア侵略の歴史をどのように考えているのかと聞いたが、区長も教育長も答弁をしませんでした。平和記念式典参列や大和ミュージアムを見学する広島平和学習中学生派遣事業は、岸本区長就任後に新たに始まった事業です。大和ミュージアムは「侵略戦争と時の政府の政策は間違っていた」と言っているのか?アジア侵略に対する反省があるのか?まったくありません。日本人がたくさん死んで悲しなかったとか、日本が国力のすべてを傾けて世界最高レベルの戦艦を作ったことを賛美している場所じゃないですか。そこに子どもたちを行かせる。これのどこが教育なんですか。2000万人のアジア人民を虐殺したことは間違っていたと教えるべきじゃないのか!

ある日突然原爆が落とされたのか?さとうきび畑の歌の歌詞のように、「むかし 海の向こうから いくさがやってきた」のか?違いますよね? 戦争は自然現象じゃないわけで、「起きる」とか「起きた」という言葉で片付けてはいけない。戦争は「起こす」連中が始めるんです。なんで原爆が落とされ、なんで日本の主要都市が焼け野原になって、なんで300万人が死んだのか。日本帝国主義のアジア侵略が一切の原因でありその帰結です。戦争を起こした責任を追及するのが戦争に反対を貫くことではないんですか?かつての戦争を被害者の視点だけで見ていたら絶対に戦争を止められません。

日本帝国主義の加害の歴史、アジア侵略の歴史をどのように考えているのか。来年も大和ミュージアム見学を続けるつもりか?区長と教育長は、明確にお答えください。

 

 

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