杉並区議会第4回定例会で一般質問に立ちました。(11月19日)

【1】区長の政治姿勢について

私は、議会内外で中国侵略戦争阻止を訴え続けてきましたが、今その戦争は本当に目の前で始まっています。安保3文書改定の前倒し、防衛費2パーセント今年度中達成の宣言、日米会談、横須賀演説、中国侵略戦争を想定した自衛隊の大演習、長射程ミサイル、原潜保有、非核三原則の破棄・核共有=核武装、武器輸出全面解禁、そしてついに国会で高市が「台湾有事は日本の存立危機事態」と発言しました。中国が一貫して「核心的利益の核心」「国内問題」と言い続けている中国と台湾の統一問題に首を突っ込んで、これを「日本の存立危機事態」だと言い、集団的自衛権を発動し、自衛隊が中国に戦争を仕掛けると公言したのです。中国に対するすさまじい戦争挑発、侵略戦争宣言です。

「台湾有事は日本有事」「台湾をめぐって日本が集団的自衛権を発動して武力行使することもありうる」などということを国会の中で首相が発言したことに中国が激しく抗議し非難しているのはあまりにも当然です。かつて台湾を植民地支配し、「満蒙は日本の生命線」などと言って、これを守るのは「自存自衛の戦争だ」という強盗の論理で、中国大陸に百万を超える軍隊を送り込んで残虐な侵略戦争を15年も行った日本帝国主義が、またしても「台湾の問題は日本の存立にかかわる」といって侵略戦争を仕掛けるというなら、中国の側からどんなに激しい言葉で非難され、反撃されても日本政府、高市政権の側は一切文句など言えないはずです。にもかかわらず、与党も野党も一緒になって中国を非難しています。戦前も一方的に中国に侵略していったのは日本帝国主義でしたが、これに抵抗する中国を「傲慢で無礼だ」「反日だ」と非難し、「中国をこらしめろ」という世論を煽り立て、侵略戦争にのめりこんでいきました。それと同じことがまさに今、私たちの目の前で繰り返されているではありませんか。

中国に対するすさまじい排外主義の扇動、中国侵略戦争の開始に対して体を張って闘い抜くことが求められています。侵略戦争が始まるとき、必ず差別・排外主義、国家主義、国益主義、祖国防衛主義が吹き荒れます。これに反対するものには必ず非国民、国賊、敵の手先、スパイだとあらん限りの非難、弾圧、右翼のテロが襲い掛かります。そういう時代が完全に始まっています。「反戦」が本物かどうか、今こそ問われています。私は今こそ闘う中国・アジア人民と連帯し、そして日本の労働者・住民の生活と命を破壊し犠牲にしながら、侵略と戦争で延命しようとする日本帝国主義の打倒をかけて、命がけで中国侵略戦争を阻止する反戦を貫く決意です。10月21日の高市政権の発足について、区長の見解を伺います。

10月28日の日米首脳会談では、高市が「日本として主体的に防衛力の抜本的強化、防衛費の増額に取り組む」とトランプに伝え、続く横須賀・米空母艦内では、「平和は言葉だけではなく、確固たる決意と行動によってこそ守られる」と発言しました。そして、トランプは、中国侵略戦争の主力部隊である米第7艦隊の司令部である横須賀基地の米軍兵士らを前に、「我々の国を守るためにどんな手段も使う、それはたいてい政治的に正しい方法ではない。戦争になればわれわれは必ず勝利する」などと演説しました。10月28日の日米会談と横須賀基地でのトランプと高市の演説について、区長の見解を伺う。

世界最大の軍事力を誇る米軍と一体となって中国近海で軍事演習を繰り広げ、一触即発の事態をつくり出し、中国政府の軍事的対抗をも餌食にしながら、戦争を引き起こしているのが日本帝国主義です。10月20〜31日まで行われた自衛隊統合演習は、陸海空3自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令部のもとで初めて実施され、過去最大の5万8430人が動員されました。統合演習では39の民間空港・港湾が使用されました。しかも自衛隊の航空基地が攻撃されて使えないという想定で、鹿児島空港や徳之島空港、奄美空港、和歌山県の南紀白浜空港で自衛隊の戦闘機の離着陸、給油などが実施され、鹿児島港では民間船・PFI船への武器弾薬の輸送だけでなく、自衛艦への実弾の装填も訓練されました。これらは自衛隊が中国軍または中国国内に軍事攻撃をした結果起こる事態を想定したもので、民間であろうと自治体管理であろうと、自衛隊が戦争のために最優先で使用することの準備であり、沖縄の島々や九州のみならず、日本全土が戦争体制に入ることを証明しています。

高市政権の登場と「27年開戦」が叫ばれる情勢において、全国の自治体で行われている自衛官募集事務の役割は劇的に変わります。「存立危機事態」が認定されれば、2023年当時の岸田首相の答弁の通り、敵基地攻撃能力が発動され、現在日本全土に配備が進む長射程ミサイルを中国に打ち込み、日米共同図上演習「キーン・エッジ24」で示されているように、自衛隊の戦闘機が中国軍を攻撃し、自衛隊が反撃を受ければ直ちに「武力攻撃事態」=「日本有事」となり全面戦争に突入し、沖縄―日本全土、中国、台湾が地獄の戦場に叩き込まれるのです。この最前線に立つのが自衛隊員です。

①区の自衛官募集事務や自衛隊入隊予定者激励会への区長の出席について区長の見解を伺う。②今年度に自衛隊による個人情報の閲覧の対象となった若者の人数を伺う。年齢別・男女別の内訳も伺う。③岸本区長が就任した2022年以降、閲覧の対象となった合計人数を伺う。④当区における自衛官募集事務が始まった経緯を伺う。⑤現在、紙と電子媒体による名簿提供は行われているのか伺う。⑥区はこれまで、「法令に従っているだけだから問題なし」という答弁を繰り返してきましたが、極めて無責任と言わざるをえません。自衛官募集事務は、戦時中に自治体職員が住民に召集令状(赤紙)を配ったことと同じ自治体の戦争協力、自治体労働者の戦争動員です。区長の見解を伺います。⑦就職難や貧困が拡大する中で、若者に入隊を促すための個人情報提供を自治体に担わせていることについて、首長として国に抗議すべきと思うが、区長の見解をお答えください。⑧「すぎ丸」の車内に練馬・朝霞駐屯地見学のポスターが掲示されていることを区は認識しているか、伺います。

防衛省が、小学生高学年以上を対象にした冊子「はじめての防衛白書~まるわかり!日本の防衛2024」を今年度から小学校に配布し始めています。これは、学校を拠点に教育労働者、そして子どもたちを中国侵略戦争に駆り立てるものであり、撤回あるのみです。「はじめての防衛白書」は21年以来、「防衛白書」の発行に合わせて作成されてきました。配布された24年版は、〝ウクライナのようになるな〟と中国、北朝鮮、ロシアの「脅威」をあおって「敵」を圧倒する「抑止力」が必要だと説き、「反撃能力」を含む大軍拡を正当化しています。

防衛省は、24年8月に文部科学省に確認をとり、25年度配布に向け各地の防衛局から県教育委員会に「小学校の図書館を含む様々な場面での活用」「各教育委員会及び小学校への周知」を要請しました。これを受けた県教委が市町村教委に通知し、防衛省は各学校に1~10冊程度を直接送付しました。その数は、全国約1万8500校の小学校のうち約2400校、約6100冊。防衛省は副教材化を狙っています。すでに小学校6年生の社会科教科書に防衛省のキッズサイトへと誘導するQRコードが掲載されています。

そして今年7月、25年版の冊子が発行されました。タイトルは「まるわかり!日本の防衛」で、例年の「はじめての防衛白書」という文言は削除されています。実際、「防衛白書」をそのまま凝縮したものではなく、自衛官募集を大々的にうたっています。25年版は、「女性自衛官の活躍」「どうやったら自衛官になれるの?」「自衛官の食事」「ブルーインパルス」などを前半で紹介し、後半は昨年同様に中国、北朝鮮、ロシアの「脅威」をあおり、「抑止力を強くします」で締めくくる内容です。巻末には進路の選択肢として、「防衛白書」の特集「多種多様なコース」を転載しています。自治体の自衛官募集事務と一体で、学校を拠点に募兵活動を展開しようとするものであり、絶対に反対すべきです。

①防衛省が発行した「はじめての防衛白書」「まるわかり!日本の防衛」の区立学校での配布状況を伺う。②今後届く予定はあるか。その際、各学校に配布するか。③「はじめての防衛白書」「まるわかり!日本の防衛」について、区長と教育長は、内容を認識しているか。どのような見解をお持ちか伺う。

11月4日、外国人政策に関する「外国人の受け入れ・秩序ある共生社会実現に関する関係閣僚会議」の初会合が開かれました。高市首相は、外国人による不動産取得ルールや出入国・在留資格の厳格化などについて迅速な検討を指示しました。今後、具体的に政府・各省庁から様々な通達が自治体等に降りてきて、徹底管理・対処を要求してくることが想定されます。

①最近の外国人に対する差別や排外主義の高まりについて、区長はどのような認識をお持ちか?②区の事業を担っている外国籍の職員の権利擁護についても区の責任として当然のことと思うが、区はどのような施策を考えているか?

【2】阿佐ヶ谷駅北東地区土地区画整理事業と杉一小の移転改築

今年7月に河北病院の新病院がオープンし、旧病院の解体工事が焦点となっています。あらためて、病院跡地への杉一小の移転改築に強く反対します。土地区画整理事業の経過と今後のスケジュールを伺う。これまで本事業にかかった費用の合計額はいくらか。河北総合病院の旧施設の地下構造物の撤去をめぐる杉並区と病院側の交渉について、経過と最新の状況を伺う。病院側の要請内容の概要と、区の見解を伺う。病院側の意向について、学校関係者からはどのような声が出ているか。病院跡地に学校を移転改築するという計画自体に無理があったと思うが、区の見解を伺う。土壌汚染の可能性、軟弱地盤、浸水地という場所に学校を移転する計画は中止し、現地立替への変更を決断すべきと考えるが、区長と教育長の見解を伺う。

河北病院と杉並区の関係性においては、前区長時代に副区長だった吉田氏が、昨年、河北医療財団の顧問に就任したことは記憶に新しいですが、区はいわゆる「コロナ禍」に、河北病院を含む区内4病院への減収補填の補助金を出しました。河北病院に支払われた補助金の合計額と期間を伺います。三者による玉突きの計画によって、病院は駅近となり、「1日も休むことなく」開かれる一方で、杉一小の老朽化問題はどんどん先延ばしとなっています。三者があたかも平等で対等な関係性のように言われていますが、実際には、地主や病院資本を利する事業であり、行政の看板で再開発にお墨付きを与えていることは絶対に許せません。区長は本当にこのままこの事業を進めていくおつもりでしょうか。今からでも遅くはありません。杉一小の病院跡地への移転を立ち止まり、抜本的に見直すべきです。

【3】自治体業務の指定管理者への委任について

今回の議会で、西荻地域区民センターの指定管理の選定に加え、6カ所の自転車駐車場の管理運営に指定管理者制度導入が提案されています。すでに多くの自治体業務に指定管理者制度が導入されていますが、自転車駐車場に関しては今回が初めてとなります。岸本区政のもとでも、様々な自治体業務の管理運営の民営化・外注化が進められています。自治体業務の丸投げ、労働者の非正規化につながります。指定管理者制度に反対の立場から、以下質問します。

(1)西荻地域区民センターで今年度、当施設で働いている労働者の人数を伺う。新たな指定管理の期間に入っても、雇用は継続されるという認識でよいか。指定管理者が導入された集会施設は何施設あるか。施設名も教えてください。

(2)自転車駐車場について、区の直営の自転車駐車場の数を伺う。自転車駐車場で働いている方の雇用形態はどうなっているか。

(3)指定管理者のもとで働いている労働者の人数を伺う。2022年以降、指定管理者が代わった事案はあったか。指定管理者が代わった場合、そこで働いていた労働者の雇用はどうなるか。非正規労働者の雇い止めは発生しているか。杉並区の公契約条例では、指定管理のもとで働いている労働者の賃金への規制はどうなっているか(どのような規制があるのか)。最低賃金ギリギリで働いているという実態があるのではないか。区はどのように把握しているのか。様々な自治体業務に指定管理者を導入することによって、自治体業務を担う労働者の低賃金や不安定雇用を拡大させることにつながっていると考えるが、区の見解を伺って質問を終わります。

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