第2回定例会で一般質問に立ちました。(6月4日)

天皇の沖縄訪問弾劾の闘いと連帯し、6月4日に杉並区議会第2回定例会で一般質問に立ちました。
冒頭に、「戦後80年を迎える今年は歴史の分岐点。沖縄戦や広島・長崎への原爆投下に行き着いた侵略戦争の歴史の歪曲(わいきょく)・修正を絶対に許さないと同時に、現在進行する米日帝国主義の中国侵略戦争を始まる前に止めることが求められています」と述べました。そして、6月2日に政府や自衛隊の元高官らが「核ミサイルを搭載した米軍の原子力潜水艦の寄港や、自衛隊の戦闘機を活用した米軍の核兵器を運用を検討すべき」との提言を発表した歴史的踏み込みを弾劾しました。
岸本聡子区長は何も答えず、部長が代わりに答弁。自民党・西田昌司参院議員の「ひめゆりの塔」への歴史修正的暴言を「決して許されない」と批判しつつも、天皇が今年4月の硫黄島に続いて、沖縄と広島を訪問することについては「意義深い」と礼賛しました。絶対に許せません。私は再質問で、「昭和天皇ヒロヒトの戦争責任の曖昧(あいまい)化は許されないし、『天皇制』そのものの戦争責任をはっきりさせなければならない」「『天皇の戦争責任』問題は現代日本に生きる政治家全員に厳しく問われるテーマであり、戦後認識そのものであり、国会であろうが地方議会であろうが、総理大臣であろうが区長であろうがまったく関係ありません。かつて天皇の戦争責任に言及した長崎市の本島等市長が1990年に右翼に銃撃される事件がありましたが、岸本区長は昭和天皇の戦争責任の有無についてイエスかノーかはっきり答えるべきです。言葉を濁して答えないのであれば、それは昭和天皇を免罪することと同義です」と徹底弾劾しました。
昭和天皇は戦争準備、開始、継続に関するすべての基本国策を積極的に「裁可」し、「大元帥」の自覚を持って戦争遂行を指導した存在です。歴史家の井上清氏は「天皇裕仁は、単なる捺印(なついん)機でもなければロボットでもなく、まさに自分が日本国の唯一最高の統治権者であることの責任をはっきり自覚し、主体的に判断し、決意して、あの戦争を発動し指揮した」(『天皇の戦争責任』)と批判しています。
戦後においても、ヒロヒトは連合国軍総司令部(GHQ)の対日占領政策に全面協力して戦犯訴追を免れ、1947年9月の「天皇メッセージ」で「米国が25~50年ないしそれ以上の長期にわたり沖縄を占領し続けることを希望している」と伝え、沖縄を米軍に売り渡した張本人でもあります。戦争責任を生涯開き直ったヒロヒト、そのヒロヒトを引き継いだ現天皇が沖縄・広島の地を踏むことをどうして許せるでしょうか!
今回の天皇訪問に対して、沖縄・広島では、提灯(ちょうちん)を持って天皇を歓迎する「奉迎」行事まで企画されています。1937年の「南京陥落」時のように、アジア侵略・大虐殺を行った天皇の軍隊=日本軍を提灯で礼賛した歴史を彷彿(ほうふつ)とさせるものです。沖縄では神社庁が呼びかけ、プログラムでは「万歳三唱」が予定されています。広島では広島県知事と広島県商工会議所連合会会頭の呼びかけに加え、広島県・広島市・広島県教育委員会・広島市教育委員会が後援に名を連ね、子どもの動員までもが狙われています。新たな侵略戦争に向かって天皇のもとへの「国民統合」をつくりだすための極めて政治的な策動であり、断じて許すことはできません。
杉並区は今年の平和学習中学生派遣事業を長崎で行う予定ですが、そもそも、自衛官募集事務で若者たちの専用名簿を作成して自衛隊に差し出し、自衛隊や募集相談員である自民党議員とともに入隊予定者の激励会に出席し、日の丸と杉並区の旗を並べてガッツポーズで記念撮影をしている岸本区長に「平和の大切さ」云々を語る資格はありません。2023年度に杉並区が自衛隊に名簿を提供した人数は、17歳の男子1749人と女子1679人、14歳の男子1925人で合計5353人でした。陸上自衛隊の幹部候補生学校が、学習資料で沖縄戦を指揮した司令官・牛島満を「本土決戦準備のために偉大な貢献をなした」と記して賛美していることが発覚したように、自衛隊の「皇軍」化・侵略軍隊化が進む中、杉並区・岸本区長が行っていることは犯罪的です。
口では「平和の大切さ」などと言いながら、実際には「お上に逆らいません」と、国策としての戦争政策に率先協力・加担していく「リベラル」の欺瞞(ぎまん)を暴きつつ、青年・学生・女性を先頭とした反戦闘争の爆発に向かって全力で闘います!

*以下、全文です。

【1】戦後80年と平和推進事業について

 戦後80年を迎える今年は歴史の分岐点です。沖縄戦や広島・長崎への原爆投下に行き着いた侵略戦争の歴史の歪曲・修正を絶対に許さないと同時に、現在進行する米日帝国主義の中国侵略戦争を始まる前に止めることが求められています。昨年2月に初めて中国を「敵」と明示して行われた日米共同図上演習「キーン・エッジ24」について、自衛隊の戦闘機が自国の領域外(=台湾海峡)で、中国軍にミサイルを撃ち込むことを想定して行われていたことが明らかになりました。形式上は「南西諸島(琉球弧)の防衛」を掲げてきたこれまでの軍拡や演習とも一線を画する踏み込みです。産経新聞は4月7日と8日に特集記事を掲載し、「80年に及ぶ『戦間期』の終わりを覚悟させる筋書きで進んだ」と書き立て、「米と一体化 9条の壁」と見出しをつけ、改憲を煽っています。

 さらに、昨日の日経新聞は、「非核三原則見直し提言」「台湾有事を想定 米と核共有も検討を」の見出しで、政府や自衛隊の元高官らが今月2日、米国の核兵器による抑止力を高めるため日本が検討すべき点をまとめた提言を発表し、「核ミサイルを搭載した米軍の原子力潜水艦の寄港や、自衛隊の戦闘機を活用した米軍の核兵器を運用を検討すべき」と踏み込んだことを報じています。3月30日の日米防衛相会談でヘグセス米国防長官が、「日本は西太平洋で発生する有事で最前線に立つことになるであろう」と言明した通り、トランプ政権は自衛隊を中国侵略戦争に全面的に動員し、最前線で「血を流す」ことを求めています。同会談では中谷防衛相が、朝鮮半島・東中国海・南中国海を一つの「戦域」とする「ワンシアター」構想をアメリカに提案しました。この構想はさらに5月31日~6月1日のアジア安全保障会議で「オーシャン構想」と改名されました。これはまさに、日本が第二次世界大戦の敗戦帝国主義としての制約を突破し、日本の主導で朝鮮半島~中国大陸~南アジアに至るまでのアジア全域を再び戦争に引きずり込んでいく歴史的宣言です。石破政権もこの中国侵略戦争に積極的に参戦することによって、「侵略軍隊」を持つ帝国主義の姿を取り戻すことを狙っています。

 トランプ政権は5月2日、2026会計年度(25年10月~26年9月)の予算編成について大統領の考えを議会に示す「予算教書」の概要を発表しました。そこで打ち出されたのは、軍事予算が前年度比13・4%増の1兆119億㌦(約146兆円)という歴史的な大軍拡です。軍事予算が現在のドル価値に換算して1兆㌦を超えるのは、第2次世界大戦が最も激しく戦われていた1944~45年以来のことです。トランプ大統領が関税を武器に同盟国をも屈服させようとする中、最も危機を深め、追いつめられている石破政権は、「安全保障分野での日米協力の強化」すなわち中国侵略戦争における日本の積極的役割を押し出すことで、アメリカからの関税攻勢をしのごうと必死になっています。その中で、最も矛盾と犠牲を集中されているのが、中国侵略戦争の「最前線」に位置づけられる沖縄です。

 天皇と軍部が天皇とその国家体制の延命のために沖縄を本土決戦の「捨て石」にしたことで、住民の4人に1人の命が奪われた沖縄戦から80年。区長の沖縄戦についての認識を伺います。自民党・西田参議院議員は沖縄県でのシンポジウムで、糸満市の「ひめゆりの塔」にある沖縄戦で犠牲となった「ひめゆり学徒隊」の説明について、「日本軍がどんどん入ってきてひめゆり隊が死ぬことになり、アメリカが入ってきて沖縄が解放されたという文脈で書いてある。歴史を書き換えるとこういうことになってしまう」などと発言しました。この発言について、区長の見解を伺います。石垣・中山市長も「日本軍が全て『集団自決』を強いたということではない」「(沖縄の教育は)偏向に近い教育」などと発言しているように、今や米日の中国侵略戦争による再びの沖縄戦が迫る中で、石破政権と極右勢力は、「日本軍による住民虐殺」という沖縄戦の最も核心的な真実が明らかになることを心底恐れ、この史実を歪曲・抹殺しようと必死になっています。一方、5月15日には、陸自の幹部候補生学校が学習資料で、沖縄戦時の日本軍第32軍について「本土決戦準備のために偉大な貢献をなした」と記し、司令官・牛島満を賛美していることが発覚しました。中国侵略戦争突入に向け、陸自の「皇軍=天皇の軍隊」化が急速に進められているのです。これと一体で、本日6月4~5日に天皇が「戦没者慰霊の旅」として沖縄を訪問します。戦後80年、「ペテン的復帰」から53年がたった今も「基地の島」を強制し続け、米兵による性暴力・事件・事故が続発する中で、天皇の戦争責任を居直り、犠牲者を英霊化し、新たな侵略戦争に向かって天皇のもとへの「国民統合」をつくりだすための極めて政治的な策動であり、断じて許すことはできません。1868年明治維新から1945年の第2次大戦終結に至るまで、日本帝国主義の侵略戦争は、ただ一つの例外もなくすべて「天皇の軍隊」による「天皇の戦争」であり、全人民を「天皇の臣民」「天皇の赤子」として総動員することで初めてその遂行が可能となりました。とりわけ、31年9月に始まる中国東北部侵略戦争(「満州事変」)から中国全土への侵略戦争開戦(37年7月)、アジア・太平洋戦争開戦(41年12月)を経て、45年8月まで足掛け15年にわたって続いた戦争は、昭和天皇が自ら決断し、指揮をとり、その遂行を全国民に命令した戦争にほかなりません。

 天皇の重大極まる戦争責任・戦争犯罪が最もごまかしようのない形で明確になるのは、朝鮮をはじめとしたアジアの国々と並んで、まさに沖縄との関係においてであります。本土と同様に大政翼賛会や隣組制度のもとで「天皇と国に命を捧げることこそ名誉であり、国民の使命である」という意識を徹底的にたたき込み、天皇・軍部は沖縄を「国体護持」のための「捨て石」とする作戦を立案・実行します。元首相・近衛文麿が1945年2月の天皇への上奏文で、敗戦はもはや必至であり「国体護持」のために戦争を早期に終結すべきと伝えますが、天皇は「もう一度戦果を挙げてから」とこれを一蹴しました。天皇の悪あがきのために凄惨な地上戦が強行され、そして広島・長崎への原爆投下に行き着いたのです。昭和天皇は戦後、マッカーサー率いる連合国軍総司令部(GHQ)にすがりつき、その対日占領政策に全面協力することで戦犯訴追を免れました。さらに、憲法9条を施行し、日本の非武装化に伴うアジアの帝国主義的軍事支配の空白をいかに補うかと考えていたGHQに対し、1947年9月の「天皇メッセージ」で「米国が25~50年ないしそれ以上の長期にわたり沖縄を占領し続けることを希望している」と伝え、沖縄を「基地の島」としてアメリカ帝国主義に売り渡しました。天皇こそ、戦後沖縄の基地被害のすべてをもたらした張本人です。以後、昭和天皇本人はもとより、平成天皇も現天皇も、天皇の戦争責任をただの一度も認めたことはなく、戦争で命を奪われたアジアと日本の人民に対して謝罪したことも一度もありません。今回の天皇来訪に対して、沖縄・広島現地では、提灯を持って天皇を歓迎する「奉迎」行事までが企画されています。1937年「南京陥落時」のように、アジア侵略・大虐殺を行った天皇の軍隊=日本軍を提灯で礼賛した歴史を彷彿とさせるものです。沖縄では、神社庁が呼びかけプログラムには万歳三唱が予定され、広島では、広島県知事と広島県商工会議所連合会会頭の呼びかけに加え、後援には、広島県・広島市・広島県教育委員会・広島市教育委員会が名を連ね、子どもの動員までもが狙われています。昭和天皇は1975年、記者から戦争責任について問われ、「戦争責任というような言葉のあやについては、私は文学方面についてはきちんと研究していないので、答えかねます」などと居直った挙句、被爆の責任については「こういう戦争中であることですから、どうも、広島市民に対しては気の毒であるが、やむを得ないことと私は思っております」と言い放ちました。戦争遂行とその結果としての原爆投下・被爆に直接責任のある天皇のこの居直りに、当時被爆者団体などが抗議しましたが、天皇は撤回も謝罪もしませんでした。その姿勢は、今の天皇にまで引き継がれています。沖縄の「ひめゆりの塔」の展示に難癖をつけた自民党・西田参議院議員は、5月7日の会見で自らの発言を居直った上で、「過ちは繰り返しませぬから」という広島の平和公園の碑文に対しても「ものすごく違和感がある」などと悪罵を投げつけました。天皇の訪問は、こうした極右勢力の動きと完全に一体です。4月の硫黄島に続き、天皇の沖縄・広島訪問について区長の見解をお答えください。また、天皇の戦争責任について、区長はどのようにお考えか。見解を伺います。

 日米政府の下で中国侵略戦争=沖縄の戦場化が進められる中で、その矛盾の最大のあらわれが米兵による性暴力事件の続発です。4月23日、沖縄本島中部の米軍基地内で、在沖米海兵隊所属の20代男性が女性に性的暴行をしたとして書類送検されたことが発覚しました。またこの事件とは別に、今年1月、本島内で知人の成人女性に暴行したとして、在沖米海兵隊員の男が不同意性交容疑で書類送検されました。事件それ自体に加えてなお許しがたいのは、これらの米兵が日米安保条約に基づく地位協定に守られ、逮捕すらされていないことです。不正義の侵略戦争に突き進む帝国主義軍隊の腐りきった現実がここに示されています。帝国主義の侵略軍隊たる米軍は全世界で性暴力を繰り返してきました。2024年度、米軍が引き起こした性暴力は8195件にのぼり、隊内における女性兵士へのセクハラ事件も3014件に達しています。沖縄で相次ぐ米軍の性犯罪について区長の見解を伺います。沖縄をはじめ南西諸島の自衛隊基地へのミサイル配備などの基地強化や、政府の台湾有事を想定した沖縄離島からの住民避難計画について区長の見解をお答えください。

 次に、今年の平和学習中学生派遣事業の内容を伺います。また、学校の授業では、日本帝国主義によるアジア侵略の歴史、そして沖縄戦や広島・長崎の原爆投下についてどのように教えているか。

 続いて、区内在住の若者たちの氏名・住所・性別・生年月日の4情報を自衛隊に閲覧・提供させ、その情報に基づき、対象となった若者宛てに自衛隊から勧誘案内が送付されている問題についてです。2023年度、閲覧の対象者となったのは、17歳の男子1,749人と女子1,679人、14歳の男子1,925人で、合計5,353人でした。昨年度(2024年度)と今年度(2025年度)の専用閲覧名簿の対象人数を年齢・性別ごとに伺います。自衛官募集事務は中止すべきです。見解を伺います。自衛隊入隊・入校予定者の激励会について、今年はどのように行われたのか。区長の激励会への出席を止めるように求めますが、見解を伺います。

 

【2】保育園について

(1)まず、誰でも通園制度について。試行的実施の経過と現在の実施状況について伺う。直営園での実施については今後どのように計画・予定されているか。現場の保育労働者からは、「配置基準が多い0~2歳児クラスの担任が3~5歳児クラスのヘルプに行くことも多い。とにかく人が足りていない」「保護者のニーズは十分理解するが、通常保育に加えて園に慣れていない子どもを預かるのは子どもの命に関わる」など、負担の大きさを聞いているが、現場の受け止めについて区はどのように認識しているか。

(2)次に、区立保育園・保育室内での事故防止カメラ設置について、導入の経緯と設置状況を伺います。カメラの管理者は誰か。記録された映像はどのように使われ、どれくらいの期間保存されるか。「保育士がカメラに頼らなくても安全に保育ができる人員配置や労働環境を求める」との声が寄せられています。カメラ設置よりもまずは、配置基準の抜本的な見直しや労働者の労働条件改善こそが最大の安全策だと考えますが、区の見解を伺います。

(3)次に、保護者への写真提供について。区立保育園での保護者への写真提供について、USBを使って保護者同士が写真を受け取るという方法がとられている園もありますが、昨年10月に登降園システムが導入されたのを機に、委託販売に変更していると伺っております。保育士の方からは、「これまでは使い慣れたデジタルカメラで子どもたちの普段の様子を撮影してきたが、委託販売に伴って専用の端末で一人一人近くに寄って撮影しなければならず、子どもの遊びや食事を見守りながら写真撮影を行うことには慣れていないのでそもそもうまく撮影できるのか不安がある。デジタル化の一環だと思うが、保育士を増やしてからにしてほしい」との声が寄せられています。委託した業者はどこか。委託に伴い、保育現場での写真の撮影・管理はどのように変わるか。保護者への写真提供はどのように変わるか。

(4)本議会では、堀ノ内東保育園の完全民営化が提案されています。当園の指定管理導入から完全民営化までの経緯を伺う。職員や保護者からはどのような声が出ていたか。完全民営化に伴い、園長・職員の配置の変更はあるのか。民営化後も管理責任は区にあるとのことだが、事業者の責任についてはどのようなものがあるのか。「公共の再生」を掲げる区長が、民営化を進めるあり方は矛盾的ではないかと考えるが区の見解を伺う。

関連記事