「核兵器禁止条約」に関する陳情に反対意見を述べました。

 3月18日の本会議(最終日)で、「杉並区議会が『日本政府に核兵器禁止条約への参加を求める意見書』を提出することを要請する陳情」と、「日本政府に核兵器禁止条約に署名・批准することを求める意見書を杉並区議会として提出することを求める陳情」に、以下の理由で反対しました。

 2021年に発効した「核兵器禁止条約」は、ヒロシマ・ナガサキの被爆者を先頭とする全世界の労働者民衆の核兵器への怒りと不屈の闘いが生み出した成果です。ヒロシマ・ナガサキの被爆者、全世界の労働者民衆の核兵器への怒りが核保有国を追いつめていることは確かです。しかし、「条約」で核兵器は廃絶できません。なぜなら、戦争と核軍拡の原因は、資本主義・帝国主義の体制そのものと、その延命をかけた経済的・軍事的な争闘戦と対立にあるからです。日米欧の帝国主義、およびロシアや中国などの旧スターリン主義・残存スターリン主義の支配が続く限り、世界戦争・核戦争は不可避です。実際に、ガザ大虐殺、ウクライナ戦争、そして日米による「台湾有事」を口実とした中国への侵略戦争の動きなど、争闘戦と国家間対立は激化し、戦争が全世界に拡大しようとしています。それは、米中の核兵器をはじめとする軍事力をますます増大させています。軍備増強の動きはロシアもEUも日本も同じです。こうした情勢下で「核兵器禁止条約」は発効しましたが、アメリカ・イギリス・フランス・中国・ロシア・北朝鮮・イスラエルなどの核兵器保有国はこの条約に絶対に参加しないし、絶対に核を放棄しません。日本の岸田政権も「唯一の被爆国」と称しながら、この条約に参加しないどころか、改憲を強行し、敵基地攻撃能力保有から核武装も企んでいます。

 昨年5月の広島サミットで、広島・長崎への原爆投下を今日に至るも「正義」と居直って恥じないアメリカを筆頭に、G7諸国は、自らの保有する核兵器・核戦力を正当化し、その「有用性」を確認する宣言文を、あろうことか被爆地・広島で採択しました。しかもそれは、従来の核抑止力論の単なる繰り返しではなく、今まさにロシア・中国を相手に史上3度目の世界戦争へと突き進むG7帝国主義による、新たな「核戦争宣言」にほかなりません。この広島ビジョンについて一言の言及もない陳情は認められません。全世界の労働者民衆の団結で帝国主義とスターリン主義の支配を打倒した時、初めて核も戦争もない社会をつくり出すことができます。核を廃絶する根源的力は、「条約」ではなく労働者民衆の団結した闘いにあります。

 加えて、「核兵器禁止条約」には大きな問題があります。条約は前文で「この条約の規定は、無差別に平和的目的のための原子力の研究、生産及び利用を発展させることについての契約国の奪い得ない権利に影響を及ぼすものと解してはならない」とあり、被曝を拡大する原発開発を全面的に容認しています。原発開発と核兵器開発は完全に一体です。そもそも原発は、平時でも核開発を継続し、その製造能力を保有するものとして歴史的にも推進されてきました。3・11福島第一原発事故という史上空前の原発事故を起こしながら、自民党政権が内部被曝を認めず、原発を維持し、再稼働から新設までしようとしているのも、核武装を策動しているからです。核兵器廃絶と反原発は完全に一つです。核兵器廃絶のためにも、福島原発事故への怒りを新たに反原発を闘っていくことが求められています。「全原発廃止」なき「核廃絶」は絶対にありえません。

 以上の理由で、陳情の採択に反対します。

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