4月30日の杉並区議会第2回臨時会での反対意見
みなさん、こんにちは。報告が遅くなってしまいましたが、4月30日に開かれた第2回臨時会で、安倍政権の「一律10万円の給付」などの補正予算案が審議されました。私は以下の理由から反対しました。
「10万円」じゃ生きられない
安倍政権の「一律10万円の給付」は、①生活補償・休業補償・賃金補償なき「10万円」であり、②PCR検査と療養体制の拡大なき「10万円」であり、③医療従事者への支援の拡大なき「10万円」という点から、欺瞞です。たった1度の10万円で生活できるわけもなく、感染防止の策でもありません。
しかも、4月22日付東京新聞によると、給付の対象外となる外国人は70万人を超えます。この中には収容者ら非正規滞在者だけでなく、就職活動や出国準備、就労先の変更などで、対象外となった留学生や技能実習生らも含まれています。政府は一貫して彼ら彼女らの生活を監視・抑圧し、人間としてカウントしていないのです。絶対に許せません。
NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」の副代表・鈴木江理子氏は東京新聞の取材に対し、「社会の弱い部分を放置してきたしわ寄せが、コロナ禍で顕在化している。国籍や在留資格にかかわらず、日本に生きるすべての人たちが排除されず、給付を受けられるようにする努力が大切だ。その人たちの命や健康を守ることが、結果としてコロナの蔓延を防ぐ社会的な措置につながる」と述べています。
100%の補償をしろ!
いま必要なのは医療体制の拡充とともに、労働者民衆への100%の補償です。現在、自宅待機に対して、労働基準法は賃金の6割以上を払うことを経営者に義務づけていますが、手取り17万円の労働者は6割補償で10万円です。家賃と水光熱費、携帯代を払えばほとんど手元に残りません。現に、「6割しか補償が出ないからスーパーなどでダブルジョブ・トリプルジョブをしなければならない」という人たちも生み出されています。補償が不十分であることが感染拡大の新たな原因をつくっているのです。コロナ流行以前から賃金を削られ貯蓄もないうえに、6割補償では生きていけません。2千万人の非正規労働者や、アルバイト代を学費や生活費にあてていた学生たちが真っ先に切り捨てられています。大学生の13人に1人が退学を検討していることも重大な問題です。学費は無償にすべきです。
都内の20代の青年はテレビのインタビューで、「バイトは解雇され、次を探してもない。月7万円の家賃を払えない。食事はカップラーメンを昼と夜食べている。10万給付されても食べていけない」と語っています。
一方で、医療関係や自治体をはじめ、スーパー、介護、保育、公共交通などの労働者は感染リスクを負いながら出勤し、「自分が感染したとしても同居する高齢者や子どもにうつすわけにはいかない」「自分が感染して隔離されれば子どもは濃厚接触者。誰が世話をするのか」など不安の中に置かれています。
社会のあり方が全世界で問われている
新型コロナウイルス感染症をめぐって最も深刻な影響を受けているのは戦争と同じく労働者民衆、特に貧困層です。世界で最も裕福な26人が世界人口の約半数に当たる38億人の総資産に匹敵する富を独占し、巨大な生産力もハイテク技術や最先端医療も金もうけの道具でしかなく、感染症対策すらまともにない。人類を何度も滅亡させることができる核兵器、弾薬、ミサイル、軍艦、軍用機はありあまるほど生産され配備されていますが、病院もベッドも人工呼吸器も不足し、マスクや消毒液もないのです。社会のあり方が全世界的規模で問われています。
雇用調整助成金は、4月3日時点で4万7千件の申請があったが、支給したのはたったの2件。厚生労働省は、4月6日までの2カ月間で日本国内で解雇や雇い止めになった人はたった1473人にすぎないと発表しましたが、実際には統計上に表れない膨大な数の失業者がすでに発生していることは明らかです。
SNSでは、「大学生が親の仕送りに頼らずバイトと奨学金で頑張ってきたけどバイトも無くなり一日一食になり2食目食べたくなるけど罪悪感で寝てごまかす…て泣けてくる。全部コロナのせいにされてるけどもうずっと前から日本の学生はバイトなしでは学費払えずボロボロだった。コロナのせいじゃないぞ政治のせいだ」(本文ママ)という怒りの声が多くの共感を呼んでいます。
給付をめぐり自治体で起きていること
給付のために本来の仕事からはがされる職員が出ることになります。すでに保健所への兼務発令、中小企業向けの貸し付け業務に職員が兼務発令されている自治体もあります。さらに生活保護申請や、従来からある「生活困窮者自立支援法の住居確保給付金」の相談・申請も増えています。給付が発表されて以来、戸籍・住民票の窓口では「世帯分離の申請が急増」。中野区では庭にまで人があふれたそうです。給付金が世帯主の口座に振り込まれることへの反発が大きいと思います。マイナンバーの申請が急増して3密状態になるなど、現場に矛盾が集中しています。住民の生活を支える自治体を「小さな区役所」として人員削減・非正規雇用の拡大を進めてきた結果が、住民の生活も職員の命も脅かしています。これは総務省の指導で行われてきたことです。杉並区は東京都及び国に対して100%の賃金補償・休業補償を求めるべきです。開催延期に伴う追加費用が3千億円とも5千億円とも言われているオリンピックは即時完全中止して全額コロナ対策と補償に回すべきです。
以上の理由から議案第50号に反対します。